麺の基礎 - 麺の黄色さとコシは、かんすいのアルカリ反応が生んでいる

麺とスープの基礎 / 公開日 2026年8月12日 / 更新日 2026年8月13日

執筆: RAMENDA編集部

ラーメンの麺は、小麦粉と水だけでは生まれません。

かんすいというアルカリ性の水溶液を加えた瞬間、生地は化学反応を起こし、色も香りも弾力もまったく別のものに変わります。

この反応の中身を知ると、麺を見る目、噛んだときの感触の受け取り方がより奥深いものになるでしょう。

粉末かんすい

粉末かんすい

黄色さは着色ではなく化学反応

麺が黄色いのは着色料のためだと思われがちですが、多くの場合は違うのです。

小麦粉にはフラボノイドという色素成分が含まれていて、酸性やほぼ中性の状態では無色に近い状態。

ここにかんすいのアルカリ性が加わると、フラボノイドの分子構造が変化し、黄色く発色します。

かんすいの量が多い、あるいはアルカリ度が高いほど黄色みは強く出やすくなりますが、小麦粉の品種によっても発色の強さは変わるため、黄色い麺がすべて同じ配合というわけではありません。

かんすい特有のにおいも、同じ反応の副産物です。小麦に含まれるわずかな香気成分がアルカリ性のもとで変化し、独特の香りを放ちます。この香りをはっきり感じる麺と、ほとんど感じない麺があるのは、かんすいの種類や配合量の違いによるところが大きいとされます。

コシの正体はグルテンの締まり方

麺の弾力、いわゆるコシもかんすいの仕事です。

小麦粉に水を加えて練ると、グルテンというたんぱく質の網目構造ができます。

ここにアルカリ性の水溶液が加わるとグルテンの結びつきが締まり、より強く伸び縮みする性質を持つようになります。

中華麺特有のもちっとした弾力とつるっとした喉ごしは、うどんのような加水だけの麺には出にくい、かんすいならではの食感なんですね。

加水率が決めるのはスープの持ち上げ方

小麦粉に対してどれだけ水を加えるかを加水率と呼びます。よくレビューとかで見かけますよね。「この麵は加水率が高めで~」とか。

一般に加水率が高い麺は生地がやわらかく仕上がり、もちもちとした弾力とつるみが出やすくなります。低い麺は生地が締まり、歯切れのよい硬めの食感になりやすい傾向があります。

ただしこれはあくまで目安で、粉の質や練り方によっても変わります。

加水率が高い麺は表面が滑らかで、スープをまとってつるりと持ち上げるのに向き、低い麺は表面がややざらつき気味になりやすく、少量のスープでもしっかり絡めやすいとされます。

「伸びる」の意味は加水率で違う

麺がスープの中で伸びる現象は一括りにされがちですが、実は加水率によって起きていることが違います。

低加水の麺は水分が少ない分、スープの水分を急速に吸い込みやすく、短い時間で表面がふやけてぼそついた食感に変わりやすい傾向があります。麺がぶちぶち切れる感じ。

多加水の麺はもともと水分を多く含むため吸水のペース自体は緩やかですが、限界まで水を吸うと今度は麺自体が膨張し、コシがふっと抜けたようなやわらかさに変わります。ブヨブヨ麺になる感じ。

同じ「伸びた」でも、前者はぱさつき、後者はふやけです。着丼直後の一口と、五分ほど経ってからの一口を比べてみると、この違いがはっきり分かります。

熟成という時間差の設計

打った生地をすぐ茹でず、しばらく寝かせる工程を熟成と呼びます。

寝かせることでグルテンの網目が生地全体に均一に行き渡り、かんすい特有の角の立った香りも落ち着いていきます。

寝かせる時間が短い麺は香りが強く出やすく、長く寝かせた麺は香りが穏やかで、色もやや落ち着いた印象になりやすいとされます。

このあたりも計算して麺の生産にあたらないといけないので、製麺は大変な作業ですね。

切刃番手という太さの物差し

麺の太さは切刃番手という単位で表されます。

番号と太さは「30mmの一本麺帯から何本の麺を切り出すか」という定義でJIS規格で定められており、

1番なら30mmの麺、2番なら15mmの麺、というふうに、30からの割り算で麺の太さを計算できます。

ラーメンでよく登場するのは18~24番あたりでしょうか。18番なら、30÷18=1.67mm、24番なら30÷24=1.25mmとなります。

太めの麺ほど番手の数字は小さく、極細麺になるほど番手の数字は大きくなる、という一見逆の関係にありますが、この前提を理解しているとわかりやすいですよね。

同じ生地でもこの番手を変えるだけで、スープとの絡み方や噛んだときの印象は大きく変わります。

ちぢれとストレートは役割が違う

麺の形状にはまっすぐなストレート麺と、波打ったちぢれ麺があります。

ちぢれ麺は表面の凹凸とうねりの内側に空気とスープを抱え込みやすく、少量のスープでも口の中で香りが広がりやすくなります。

ストレート麺は表面が均一なぶんスープの絡み方にムラが出にくく、濃厚なスープの重みをまっすぐ受け止める役割に向いています。とんこつラーメンで細いストレート麺がよく使われるのは、濃いスープにすでに絡みやすい太さと表面積を持っているためです。

麺を口に含む前に、レンゲに一本のせて断面と表面のうねりを見てみてください。

かんすいの香り、断面の黄色み、表面のざらつきやつや、それぞれが生地の配合を物語っています。

麺だけを単独で味わってから、スープに絡めた状態を食べ比べると、その店が何を軸に設計しているかが見えてきます。

スープの構造についてはスープの記事、香りの重ね方については香味油の記事で扱っていますので、こちらもぜひ読んでみてください。